農学部Agriculture

  • 応用植物科学科
  • 応用動物科学科
  • バイオサイエンス学科

・研究室紹介・Laboratory Introduction

深める、極める。

応用植物科学科Department of Plant Science

卒業研究紹介

4年間の集大成、卒業研究で実践力を身につける

作物学研究室

[阿部 淳 教授]

熊本で安心・安全な食物の生産と
多様な植物の利用を考える

【卒業研究テーマ】
●有機農法・自然農法の水稲栽培技術の研究
●バイオマス作物やサトウキビのストレス耐性の研究
●イネやダイズの伝統品種や薬用植物の栽培技術の研究

化学農薬や化学肥料に頼らない食用米や酒造用米の栽培について研究しています。無農薬でも、省力的に、雑草だらけにならず、良品質のおいしいお米を安定した収量で栽培するための技術を追求します。そのために、大学の阿蘇実習フィールドの試験水田だけでなく、東海大学モニター農家など、熊本県内の先進的な技術をもつ農家さんと協力し、農業現場での研究にも力を入れています。そのほか、町おこしに役立てる目的で、熊本県のイネやダイズの在来品種の栽培特性を調べたり、甘草やミシマサイコなどの薬用植物を阿蘇の気候の中で栽培することに取り組んだりしています。

TOPICS

南西諸島の島でサトウキビの根を調べる

熊本県での研究のほかに、干ばつや台風などの災害に強いサトウキビの品種を作るために鹿児島県の徳之島の試験場に出向いて、サトウキビの根を調べています。またサトウキビと近縁で交配可能なバイオマス作物エリアンサスについても研究していて、東南アジアの問題土壌でもバイオマス作物やサトウキビが栽培できるよう、ストレス耐性についての調査を進めています。

果樹園芸学研究室

[安田 喜一 講師]

果樹を題材に植物科学と農業に貢献しよう

【卒業研究テーマ】
●DNAマーカーを用いた小果樹類交雑系統の雑種性解析
●カンキツ倍数性変異個体の果実品質と機能性成分の分析
●ブドウにおける組織培養を用いた倍数性変異の誘導

日本では果樹は嗜好品とされていますが、健康な身体を維持するための栄養素や健康機能性成分を多く含みます。また、四季折々の姿で人々を楽しませるとともに、その生理生態は研究素材として高い魅力をもちます。私たちの研究室は、ブルーベリーやキイチゴなどの小果樹類の遺伝資源を収集・保存し、アントシアニンや抗酸化活性を含む特性評価を行い、それらの交雑から美味しく、機能性に富んだ果物の創出をはかっています。さらに、熊本県特産果樹であるカンキツや新品種‘シャインマスカット’を含むブドウなどに関して、組織培養、染色体・DNA解析、化学分析などを駆使した幅広い研究を行っています。

TOPICS

組織培養技術で果樹の倍数性変異を誘導

果樹の栽培種は、大粒系ブドウは四倍体、カキは六倍体と、多様な倍数性(ゲノムのセット数)を示します。また、その倍数性がもたらす表現型は、果実の肥大化、色素の濃化、種なし化、成分の増加など、人にとって有用なものです。そこで、私たちはいろんな果樹の培養系を確立し、倍加誘導剤を用いた倍数性変異個体の作出を試みています。また、それらの個体について、化学成分から核酸・染色体までさまざまな機器と技術を用いて評価しています。

天敵生態学研究室

[村田 浩平 教授]

天敵利用の害虫管理と希少昆虫の保護

【卒業研究テーマ】
●イチゴ・ナス・トマト・イネにおける土着天敵活用法の開発
●水生昆虫,草原性蝶,糞虫などの希少昆虫の保全

オオルリシジミ(蝶)などの希少昆虫の保全、半水生カメムシ、糞虫の生態解明、昆虫の移動分散、進化適応戦略の解明などで知られています。研究室は、日本蜘蛛学会の本部です。研究対象は、蝶、蜂、甲虫、クモ、ダニなど幅広いのが特徴です。研究の柱は4本。①土着天敵の利用法開発、②希少昆虫を保護しつつ害虫被害を減らす技術開発、③食物網解析による害虫多発機構の解明、④生態系に負荷のない新農薬の開発。

TOPICS

日本蜘蛛学会の本部になりました!

日本蜘蛛学会は、1936年東亜蜘蛛学会として発足した84年の歴史を持つクモ、ダニ、多足類について研究する学会です。2018年4月から応用植物科学科天敵生態学研究室が日本蜘蛛学会の本部となりました。クモの研究拠点として学生の皆さんとともに活動しています。クモは苦手だなんて言わないで!学会の本部が皆さんの研究室だなんて素敵だと思いませんか?

植物育種学研究室

[村田 達郎 教授]

夢の植物を創る

【卒業研究テーマ】
●サツマイモ・日本シバ・ヤーコンの品種改良
●品種改良におけるバイオテクノロジーの利用

植物育種学とは、植物の品種改良を行うための遺伝現象の解明や改良の手段を研究開発する分野です。本研究室では、従来の交配やバイオテクノロジーの手法を用いて「サツマイモ」、サッカー場・ゴルフ場などのスポーツ施設などで利用されている「日本シバ」および南米から新規に導入されたイモ類である「ヤーコン」の品種改良に関する研究を行っています。

植物環境科学研究室

[星 良和 教授]

テーマは環境・進化・保全・緑化

【卒業研究テーマ】
●希少植物の保全に関する研究
●絶滅危惧植物の遺伝的特性に関する研究
●新たな緑化素材の開発に関する研究

植物は動物のように動けないため、より厳しい環境でも適応できる力を発達させてきました。本研究室では特に希少かつ多様な野生植物を材料に「環境・進化・保全・緑化」をテーマに研究をしています。具体的には①キク科、ラン科、ウリ科、食虫植物をはじめとする植物の環境適応のためのゲノム進化と形態変化のメカニズムの解明、②外来植物の駆除及び遺伝子汚染を判定する方法の開発、③新たな緑化植物の開発研究を行っています。

植物生理生態学研究室

[松浦 朝奈 准教授]

天敵利用の害虫管理と希少昆虫の保護

【卒業研究テーマ】
●雑穀の根の環境ストレス耐性機構を探る
●有機栽培に適した雑穀や大豆とは?
●雑穀の新品種を作る

近年、温暖化や砂漠化が深刻化しており、人間活動は異常気象をもたらす一因とも考えられるようになりました。そのため、地球環境を悪化させずに食料生産を行う必要があります。雑穀は作物の中で最も古くから重要な食料源とされ、これまで世界各地で人々の命をつないできました。皮肉なことに、バイテクが進むほど遺伝資源が失われ、雑穀はその影響を最も受けている植物種の一つであると考えられています。本研究室では「乾燥、塩害、湿害など、栽培に困難な状況でも雑穀が旺盛に生育するのはなぜか」を明らかにするため、世界各地の雑穀を収集し、根の周りで起こるさまざまな環境ストレスに対する葉、茎、根の反応を詳しく調べています。

植物遺伝資源学研究室

[長野 克也 教授]

植物の未知の能力を使って地域活性化を

【卒業研究テーマ】
●機能性や薬効を有する野生植物の有効利用
●未利用野生植物を用いた都市環境改善
●植物資源による地域活性化に関する研究

私たちの研究室では、植物の未知の能力を探る手段として、まず、日本国内はもとより、世界各地において未利用植物の探査を行い、それらをDNA解析、染色体分析をはじめとする最新の技術を用い評価しています。また、その能力の有効利用として、新作物の開発、都市や屋上緑化に用いる環境緩和植物の開発、機能性食品の開発などを行っています。その他、森林植物資源や希少植物の保全、さらには、植物資源を用いた地域活性化に関する研究も実施しています。

植物分子遺伝学研究室

[松田 靖 准教授]

植物の不思議を探って改良しよう

【卒業研究テーマ】
●栽培植物における組織培養を利用した品種改良
●品種登録に向けた芝草の遺伝的改良と評価
●DNAレベルでの遺伝的多様性評価と利用

色や形ばかりでなく、栽培特性や病害虫に対する抵抗性など、見た目だけではわからない形質も含めてさまざまな植物の育種(≒品種改良)が進められてきました。このような遺伝的改良は交配と選抜を中心に実施されてきましたが、近年はこのような伝統的な手法に加え、遺伝子レベルでの操作も可能になり、その方法が大きく変化しています。私たちの研究室ではヤーコンやシバを材料とし、伝統的な育種法と組織培養を利用した育種法、さらに遺伝子レベルでの比較などをテーマに研究を展開しています。この作物でこんな改良をしたいというあなたの夢を現実にするために一緒に学んでいきましょう。

蔬菜花卉園芸学研究室

[川邊 隆大 講師]

アブラナ科野菜の有用遺伝子の特定を目指して

【卒業研究テーマ】
●アブラナ科野菜コマツナの耐暑性試験
●アブラナ科植物Fast Plantsにおける全ゲノム転写解析
●マリーゴールド種にみられるgenomic variationの観察

私たちの研究室では、園芸作物(野菜や花卉)の品種分化の研究や品種育成に有用な遺伝子を探索する研究を行っています。現在、日本国内で栽培される多くの野菜は、異なる性質をもつ両親系統間の交雑によって得られた雑種第一代 (F1: First filial generation)の種子を大量に採種し、品種とするF1品種です。そのため、優良な親系統の育成が必要となりますが、その育成には多大な労力がかかっています。その労力の軽減には有用な形質に関連する遺伝子を見出し、DNA分析を育成過程に導入していくことが有効であると考えられます。そこで、本研究室では、ハクサイやキャベツといったアブラナ科野菜を中心に、有用な遺伝子を探索するため分子生物学的な研究を進めています。

応用動物科学科Department of Animal Science

卒業研究紹介

4年間の集大成として卒業研究を行い、
動物をさまざまな分野から研究し新たな動物学を創造する

動物行動学研究室

[伊藤 秀一 教授]

天敵利用の害虫管理と希少昆虫の保護

【卒業研究テーマ】
●動物園動物ストレスに配慮した飼育法に関する研究
●動物の能力やコミュニケーションに関する研究
●産業動物の行動・アニマルウェルフェアに関する研究

「アニマルウェルフェア(AW)」は「動物の欲求が満たされていることによる幸福な状態」のことで、動物をできるだけ幸せな状態で飼育することを目的としています。近年では動物飼育を行う際には必須の考え方で、EUでは動物飼育を行う際の法律になっています。AWを考えるためには、動物たちがどんなことに苦しみや幸せを感じているのかを科学的に知る必要があります。しかし,ヒトと動物は直接会話することができません。そこで私たちの研究室では、動物の行動を詳細に観察して、動物を理解し、AWに配慮した飼育法を考えています。阿蘇実習フィールドの動物だけでなく,動物園でのチンパンジーや赤色野鶏などの研究など人と関わる動物に関して広く対象としています。

TOPICS

絶滅が危惧されている動物の行動を調査する

熊本市動植物園に、別の動物園からクロサイのペアが移動してきました。クロサイは絶滅が危惧されている動物なので、動物園での繁殖が必要です。動物行動学研究室では移動直後から、クロサイの行動の変化を記録し、さらには繁殖にかかわる行動を調査していく予定です。この他にも、チンパンジーの群れ構造に関する研究や、ネコ科動物に関する研究などを行っています。

家畜管理学研究室

[稲永 敏明 講師]

家畜家きんの健康を守り、生産性向上をはかる

【卒業研究テーマ】
●地方病性牛白血病の感染・発症予防技術の研究
●豚の脚弱予防および抗生物質に頼らない飼育技術の研究
●肉用鶏の生産性を向上させる飼養管理技術の研究

家畜や家きんの健康は、安全な畜産物を安心して食べたいという消費者の観点から重要なだけでなく、余分な薬や飼料、および飼養管理の手間を必要としないことにもつながるため、生産者の観点からも重要なことです。ふだん生産現場で発生し、問題となっている家畜や家きんの病気は、人間でいう風邪のような、ありふれた慢性の病気です。これらは家畜や家きんをすぐに死に至らしめることはありませんが、頻繁に発生して、余分な薬や飼料を必要としたり、家畜家きんの増体や泌乳量や産卵率が低下するなど、いわゆる「生産性の低下」を引き起こすこととなります。我々は、このような慢性疾病を予防し、生産性の向上をはかるための技術開発を目標に、研究を行っています。

TOPICS

ブロイラーの生産性向上に関する研究

米焼酎粕は、熊本県内で製造の盛んな米焼酎の製造副産物です。焼酎粕はさまざまな機能性成分を含むため、我々は、米焼酎粕給与がブロイラーの成長、筋肉量、腸管や免疫系の発達、及び歩行機能に及ぼす影響についての研究を行っています。

動物繁殖学研究室

[河原崎 達雄 教授]

生殖の神秘と可能性を探る

【卒業研究テーマ】
●精子、卵子の形成、受精機構の解明に関する研究
●精子の保存、体外受精、ゲノム編集に関する研究
●マイクロミニピッグの繁殖特性に関する研究

生殖は1個の卵子と精子の出会いから始まる神秘的な現象です。そして、新しい世代は高い活力をもつだけでなく、時には親を超える能力を持つこともあります。私たちの研究室では、動物の精子や卵子の形成、受精、発生などのメカニズムを解明しています。さらに、それらの知見を基にして、人工授精、体外受精、ゲノム編集などの応用技術の開発を行い、動物遺伝資源の保存や有効活用に貢献することを目指しています。また研究材料の一つとして実験用ミニブタ(マイクロミニピッグ)を用いています。マイクロミニピッグを用いて精液の保存試験、体外受精を行うとともに、その繁殖特性に関する研究も行っています。

TOPICS

マイクロミニピッグの繁殖特性に関する研究

最近になって実験用ミニブタとして開発されたマイクロミニピッグを研究室で飼育し、発育、精液性状、光学及び電子顕微鏡による精子の形態、精液の保存性などの特性について解析し、その応用性についての評価を行っています。熊本地震の後は、阿蘇ミルク牧場さん、宮崎大学さんに飼育を委託していましたが、施設が整備され2018年の11月から熊本キャンパス内で飼育しています。

草地生態学研究室

[岡本 智伸 教授]

動物にも地域生態系にも優しい牛の放牧とは

【卒業研究テーマ】
●野鳥を指標にして放牧草地の生物多様性を評価する
●牛は草原でどのような野草を選んで採食しているか
●野草を食べて育った牛が生産する乳や肉の特徴

地域の生態系(草原)を活用して、日本の風土(環境)に調和した動物生産を目指して研究しています。私たちの生産活動が環境と調和しているかを知るために、「生物多様性」はとても有用な手がかりです。私たちの研究室では、阿蘇の草原を舞台にして、牛を放牧して乳や肉を生産することが、生物多様性を豊かにすることに繫がるか、野生生物の生育・生息状況を指標として調査研究を行っています。一方で、豊かな生物多様性の草原で放牧される牛はどのように野草を選んで食べているのか、牛が自由に食草できる飼育環境についても研究しています。このように私たちの研究室では、動物と草原生態系の両方に優しい放牧飼育技術を追究しています。

家畜栄養生理学研究室

[プラダン ラジブ 准教授]

低・未利用飼料資源の活用による家畜生産

【卒業研究テーマ】
●周年放牧繁殖牛の飼養管理に関する研究
●育成・肥育牛の飼養管理に関する研究
●家畜にプロバイオティクスの給与に関する研究

日本の飼料自給率は約25%と低いので、ワラ類のような農業副産物を家畜飼料として有効利用し、地域内の物質循環を維持できる家畜生産システムの構築が重要です。私たちの研究室では、農業副産物や食品副産物である豆腐粕、醤油粕などの異なるタンパク質補助飼料をヒツジに給与した場合の飼料の利用性などについて反芻動物の栄養生理学的に比較検討を行っています。得られた結果を肉用牛生産に応用し、褐毛和種牛の現場試験も行っています。また、周年放牧褐毛和種繁殖牛の栄養生理に季節による影響について調査を行っています。さらに、家畜にプロバイオティクスの給与により飼料の利用性、栄養生理に及ぼす効果についても検討を行っています。

動物遺伝学研究室

[松本 大和 講師]

遺伝子の描く「生命」を読み解く

【卒業研究テーマ】
●雄ヤギの雌化を引き起こす原因遺伝子の同定
●ウシ毛色を制御する分子基盤の解明
●ウシのおいしさに関わる新規遺伝子の探索

生物のもつさまざまな特徴は遺伝子の働きによって生み出されています。性別や毛色などは厳密な遺伝的制御を受けています。おいしいお肉やたくさんの卵などの家畜で見られる有用な特徴もその例外ではありません。しかし、これらの特徴がどのような遺伝子の作用によって生み出されるのかについて、具体的なことはほとんどわかっていません。したがって、これらの特徴を生み出す遺伝子を探し出し、その機能を解明することが育種改良を行う上で重要です。家畜生産に有用な遺伝子や遺伝子内多型の発見を目標として、私たちは生物への理解を深める研究を行っています。

動物生体機構学研究室

[森友 靖生 教授]

動物の病気の“謎”を科学する!!

【卒業研究テーマ】
●骨格標本によるウシの骨格異常の解析
●顕微鏡標本による動物の疾病内蔵の観察
●動物体内に生息する寄生虫の病害に関する研究

動物たちにもさまざまな病気が発生します。その中で原因や病態が解明されていない病気もあり、動物たちを苦しめています。たとえば、血液が固まらない病気(ヒトでは血友病など)。ウシでは”血液凝固不全症”が確認されており、遺伝病として数種類の原因が特定されていますが、私たちの研究でそれ以外にも原因がありそうなこともわかってきました。しかも、血液の性質とは関係が無さそうな流産が多いこともつきとめました。研究室では未解明の病気を発掘し、原因を追究するために顕微鏡レベルで研究をしています。このような“謎”が解き明かされれば、病気に苦しんでいる動物たちを助ける方法をみつけることが可能になります。一緒に勉強しませんか!

動物生理生態学研究室

[樫村 敦 講師]

「大草原の小さな哺乳類」を科学する

【卒業研究テーマ】
●熊本市動植物園におけるモグラの展示施設と行動の関係
●阿蘇実習フィールドにおける野生小型哺乳類の生息分布
●熊本キャンパス周辺におけるコウモリ類の生息地利用

阿蘇の大草原に放牧されている牛の足下にはモグラが、草原や周辺の森林にはネズミの仲間が、都市部にもコウモリなど小さな哺乳類が人知れず暮らしています。自然あるいは人の手が加わった環境で身体の小さな彼らがどのように暮らしているのか。「環境適応」をキーワードに、彼らの生態を垣間見る研究に取り組んでいます。そして、彼らの能力や生態系における役割を考え、生物多様性に配慮した持続的な動物生産、動物園展示や環境教育に役立つ研究成果を蓄え、人と動物と環境のより良い関係を目指しています。

分子神経生物学研究室

[今井 早希 助教]

動物の健全な発達を支える科学

【卒業研究テーマ】
●幼少期の養育環境がマウスの社会性行動へ及ぼす影響
●遺伝子突然変異マウスを活用した養育行動に関する研究
●生育環境が褐毛和種の行動発達へ及ぼす影響

我々、ヒトを含む哺乳類は幼弱な子を守り育てることで子孫を多く生存させてきました。養育者による養育行動の重要性は産業動物であるウシやブタにおいても変わりません。近年、幼少期に受ける養育環境が成熟後の動物へさまざまな影響を及ぼすことが明らかになりつつあります。当研究室では、マウスを産業動物のモデル動物と位置づけ、「母子に着目した幼少期環境ストレス (母子分離や早期離乳など) が成熟後の動物へ及ぼす影響」を中心的テーマとして研究しています。さらに、マウスで得た実験結果を応用し、産業動物における育児放棄問題にも取り組んで行きたいと考えています。

バイオサイエンス学科Department of Bioscience

卒業研究紹介

4年間の集大成、卒業研究で実践力を身につける

食品バイオ化学研究室

[木下 英樹 講師]

乳酸菌や発酵食品の機能を探り応用に繋げる

【卒業研究テーマ】
●乳酸菌の機能性に関する研究
●チーズや豆乳ヨーグルトの機能性に関する研究
●乳酸菌を用いた六次産業化の推進に関する研究

乳酸菌を多く含む発酵食品(ヨーグルト、チーズ、漬物、キムチなど)は、身近な機能性食品です。私たちの研究室では、さまざまな食品から乳酸菌を単離し、その機能性を解析しています。乳酸発酵食品には、乳酸菌の機能と発酵によって食品素材から新たに生み出される機能の2つが期待されます。そのため、研究対象は乳酸菌そのもののほか、チーズ、豆乳ヨーグルト、発酵野菜などさまざまです。乳酸菌の魅力は研究成果を応用に結びつけやすいことです。私たちの研究室では機能性乳酸菌を発酵食品へ応用する研究も行っており(p.18参照)、付加価値をつけた新しい機能性食品の開発を目指しています。

TOPICS

小さなRNAの謎を追え!

タンパク質に翻訳されないRNAをノンコーディングRNAと呼びます。その中でもスモールRNAと呼ばれる小さなRNAが生体内でさまざまな働きをしていることが分かってきました。私たちの研究室では乳酸菌のスモールRNAががん細胞の増殖を抑制することを発見しました。また、スモールRNAが乳酸菌の中でどのような働きをしているのか殆ど分かっていないため、その機能の解明を目指して研究しています。

食品生体調節学研究室

[永井 竜児 教授]

真に健康の維持・向上に寄与する食品の開発

【卒業研究テーマ】
●食事・運動と健康との関係性調査
●理想的な食事と老化との関連
●分析化学による生活習慣病の検出

生物は誕生してから成長し、成熟するとやがて生理機能や運動機能が衰える「老化」が進行します。われわれ人類は老化を抑制する何らかの方法があるに違いないと考え、その原因究明と抑制に多くの人々が魅了されてきました。現在、食習慣・運動習慣が不適切であると血管の老化が進み、「生活習慣病」と呼ばれる疾患を発症し、からだ全体の老化も早く進んでしまうことが知られています。血管の老化は一度進行すると病院でも治療が困難ですが、かと言って予防的に薬を飲むことはできません。そこで、老化に伴うからだの異常を早期に検出して、食品成分を使って老化を遅くさせる方法について研究しています。

TOPICS

分析化学で老化を早める真犯人を探せ!

何かの事件が起こると、真実を解明すべく詳細な現場検証がなされます。また体調不良を訴える方の原因を調べるための血液検査、食品に含まれるビタミン含量など、多くの場面で分析がなされます。われわれは、真実を見いだすための「分析化学」を駆使して、運動習慣や生活習慣が悪いとなぜ老化が早まってしまうのか、そして食品による老化の遅延は可能であるかを研究しています。

微生物工学研究室

[多賀 直彦 講師]

微生物の秘めたる力を解き放つ

【卒業研究テーマ】
●バクテリオシンによる安全な食品保存料の開発
●発酵食品および発酵食品に関する微生物の研究
●化粧品開発のための皮膚常在微生物の性質と利用

近年、微生物の有効利用に対する関心が高まっています。日頃何気なく飲食している酒、みそ、醤油、納豆など微生物と深い関係がある発酵食品には、食の安全や健康に関する機能や物質が数多くあり、日々、新たに発見されています。①バクテリオシン:バクテリオシンは、安全な食品保存料として期待されるタンパク質性抗菌物質です。モンゴルの馬乳酒由来乳酸菌と納豆のバチルス属のバクテリオシンを研究しています。②発酵食品:搾り立ての清酒の酒質を維持する方法およびおいしい自然酵母パンのための酵母の分離などを研究しています。③皮膚常在菌:肌に存在する微生物の性質を化粧品開発に役立たせます。

TOPICS

搾りたての清酒の酒質に関する研究

搾りたての清酒は、とてもおいしいもので個人的にはこの世で一番おいしいと思っております。しかし、ほんの数分の時間で味が変化してしまい、実際にそのおいしさを知るためには現場に行く必要があります。おいしさとは何か、また、すぐに味が変わってしまうのがなぜかについて研究しています。清酒の原料である米のデンプン含量や搾りたての清酒の保存条件が味の変化に与える影響を調べています。

タンパク質化学研究室

[荒木 朋洋 教授]

私たちの生命を支えるタンパク質

【卒業研究テーマ】
●タンパク質を解析する新しい手法の開発
●植物酵素の構造と働き
●アミノ酸を用いた生体診断法の開発

生物のすべての情報は、遺伝子を設計図として細胞に保存されていますが、遺伝子が作るのはタンパク質だけです。実は、このタンパク質が糖や脂質さらに他の成分を合成するマザーマシンとなっているのです。私たちの体の中では、このようにして作られたたくさんのタンパク質分子が働いています。その多くは、酵素として生体反応を効率よくスムーズに行わせるため種々の機能を持っています。これらのタンパク質の構造や機能を調べることにより、生物が生きていくメカニズムや生物の機能を理解することができます。また、生体の中ではこれらのタンパク質の働きで作り出されるさまざまな成分が働いています。私たちは、この生命をつかさどるタンパク質や生体成分の構造や働きについて研究しています。

天然物化学研究室

[小野 政輝 教授]

特定保健用食品ならびに医薬品の種を探す

【卒業研究テーマ】
●サツマイモの便秘改善成分の研究
●ニンニクおよびタマネギの抗癌成分の研究
●トマト成熟果実の機能性成分の研究

古来、人間は動植物、微生物及び海洋生物が産生する物質を、健康の維持、病気の治療に利用しています。また、それらの物質の科学的研究により、新しい医薬品が開発されています。一方、漢方医学には食事療法を重視する“医食同源”という概念がありますが、近年、食品に含まれる生物活性物質が注目されており、食品による病気の予防が研究されています。また、それらの生物活性物質を用いた多種多様の健康食品が開発されています。このような背景から、当研究室では薬草、野菜および果物などに含まれる成分を純粋に分離後、それらの構造を化学反応ならびに機器分析により決定し、さらに、それらのもつ生物機能を明らかにする研究を行っています。

食品機能科学研究室

[安田 伸 教授]

食品食材の良さを知り健康維持に役立てよう

【卒業研究テーマ】
●ヤーコンハーブティーの抗酸化に関する研究
●食用イグサの抗炎症作用に関する研究
●風邪薬の代謝物の合成と機能性に関する研究

当研究室では「医食同源」をメインテーマに、農産物がもっている効能を明らかにするための基礎研究を行っています。地域に特化した食素材であるヤーコン、ブラックベリー、ムラサキイモ、モリンガ、食用イグサ、伝統野菜などの農産物や薬用植物に含まれるポリフェノールなどの有効成分と、抗酸化、抗炎症、消化酵素阻害作用との関連性や、チーズの抗腫瘍作用について調べてきました。「食品を科学し健康を考えていく」うえで、毒性と機能性を簡便に評価し、安全面と有効性について広く評価することも重要です。一方、風邪薬などの医薬品と同じくポリフェノールも身体の中では薬物代謝により別の物質に変わってしまうため、代謝物の隠れた機能にも注目しています。

植物病理学研究室

[吉田 政博 教授]

微生物を理解し病原微生物から植物を守る

【卒業研究テーマ】
●メロンの放線菌病:がんしゅ病に関する研究
●生物的防除法のための有望微生物の探索
●サツマイモ立枯病に関する研究

人や動物と同じように植物もさまざまな病気にかかります。これは特に肉眼では見えない菌類・細菌・ウイルスなどの微生物の感染が原因です。私たちの研究室では、その病原微生物と植物との関係を研究し、どのようにして病気を防げばよいかを探ります。研究者は“植物医師”として病気のメカニズムの解明、病原微生物の制御法を探求しています。現在は特に、放線菌が原因となる病気の発生の仕組みの解明を行うとともに、病原菌を抑制したり植物を元気にしたりする有望な微生物の探索も進めています。このようにして、環境に優しく、生物自身の機能を最大限に発揮させるような病害防除法を確立し、安心で安全な食の確保に貢献します。植物にも病院と医者が必要なわけです。

ゲノム情報科学研究室

[山下 秀次 教授]

抗病性の高い個体から責任遺伝子を探し出す

【卒業研究テーマ】
●ガン腫瘍の退行現象に関わる機能遺伝子の探索
●DNA修復関連遺伝子の機能性に関わる研究
●クローバーの多葉性に関わる機能遺伝子の探索

私たちの研究室では、疾患の成因や生産形質などの多因子形質の形成に関わる責任遺伝子とその機能を解明することを目指しています。特に多くの遺伝子の転写調節に関与しているCpGアイランドやエピジェネティクスの最上位に位置するDNAメチル化に着目しており、DNAの二次元電気泳動によるゲノムレベルでの網羅的解析とDNAマイクロアレイを用いたmRNA(転写産物)レベルでの網羅的解析を基盤としています。これらの網羅的解析で抽出された候補遺伝子群から詳細なゲノム構造解析や機能解析によって責任遺伝子を単離・同定し、その機能性に関わるゲノム変異を見出すとともに、DNA検査に用いるDNAマーカーを開発することを目指しています。

生物化学研究室

[米田 一成 准教授]

抗病性の高い個体から責任遺伝子を探し出す

【卒業研究テーマ】
●藍染めの藍建て発酵に関与するインジゴ還元酵素の研究
●特異的農薬開発を目的とした植物疫病菌の酵素に関する研究
●100℃でも安定な耐熱性酵素の機能解析とX線結晶構造解析

生体内で起こる化学反応を触媒するタンパク質を酵素と呼びます。酵素は発酵食品や医薬品など私たちの身の回りで昔からたくさん利用されています。酵素は顕微鏡では見えないくらい小さな生体分子ですが、特定の立体構造を正しく取ることによってはじめて働くことができます。多くの病気は酵素が正しく働かないことにより生じるため、酵素の機能(働き)や、立体構造(形)を明らかにすることは新しい治療薬を作り出すことにもつながります。生物化学研究室では、藍染めや植物の疫病に関わる酵素に焦点を当て、酵素の機能や立体構造を明らかにすることで、生化学的な視点で藍染めを解明したり、植物病原菌に対する新しい農薬の開発を行っています。