基盤工学部Industrial and Welfare Engineering

  • 電気電子情報工学科
  • 医療福祉工学科

・研究室紹介・Laboratory Introduction

より深く学ぶ。

知的機械システム研究室

高橋 将徳 教授Masanori Takahashi

[専門分野]
制御工学
ロボット工学

[現在の研究課題]
制御要素の切り替えによる自己修復制御理論
耐故障性能をもつ二足歩行ロボットの開発

作業用ロボットのインテリジェント化

ヒューマノイド並みの関節をもち、1本の足が壊れても、残りの2本足でスムーズな歩行を続ける。人間や動物などの生物には備わっているケガや疾患に対する免疫のような修復機能をロボットに搭載すれば、安定した活動が続けられるはず。未来のロボットは、人が入れない危険な場所での点検や、事故現場での救出作業、または遠い宇宙などでの活躍が期待されています。ロボットのセンサやアクチュエータ(人の目や筋肉に対応)などの異常をロボット自身が感じ、3Dプリンタを搭載したロボット自身が不足部品のパーツ成形などを行い、自動修復(修理・交換)するのです。自ら故障を修理し、活動を続けるための機能、そうしたロボットの自己修復及び制御理論の一般化、インテリジェント化は、災害救助や医療分野へもつながっていきます。

未来REAL

産業用ロボットの成長市場はアジア!
進む電子機器製造でのロボット採用

ロボット関連の業界調査によると、今後数年間で、産業用をはじめとするロボットに新たな能力がもたらされるという。2020年には、新たに導入された産業用ロボットのうち45%が、予測解析、健康状態の認知、自己診断、ピアラーニング、自律的な認知などのインテリジェント機能を少なくとも1つ備えるようになると予測されている。

出展/EE Times Japan(世界のエレクトロニクス技術の最新動向がわかる)
http://eetimes.jp/ee/articles/1804/04/news042.html

画像処理研究室

岩﨑 洋一郎 教授Yoichiro Iwasaki

[専門分野]
画像処理工学
交通システム工学

[現在の研究課題]
画像処理を用いた道路交通管理システムの高度化
各種画像解析・画像計測・画像認識に関する研究

ロボットの目、コンピュータビジョン

カメラなどの画像入力機器とコンピュータを使って人工の視覚機能を実現する技術をコンピュータビジョンと言います。コンピュータビジョンの研究では、いかに高精度な視覚機能を実現できるコンピュータプログラムを構築できるかが重要となります。画像処理研究室では、これまでに道路交通分野を中心にコンピュータビジョンの研究を行ってきました。この道路交通分野の研究では、交通事故防止、渋滞緩和に貢献できる手法の開発を目指してきました。近年、企業との共同研究として交差点に設置したネットワークカメラから得られる動画像を用いて乗用車・バイク・バス・トラックを識別して車両の走行軌跡と進行方向別の交通量を計測する手法を提案しました。この手法には、深層学習と呼ばれるAI(人工知能)を使って車両の検出精度を向上させています。

未来REAL

キーワードはコンピュータビジョン、
画像認識、画像解析、画像計測

コンピュータビジョンには極めて多くの事例があります。ここで事例を紹介してもそれは世の中の事例の一部にしかすぎません。したがって、Web上でコンピュータビジョン、画像認識、画像解析、画像計測などのキーワードで検索して事例を閲覧してみてください。きっと興味のある事例が見つかり、さらに、未来のコンピュータビジョンも想像できるでしょう。

電子物性デバイス研究室

清田 英夫 教授Hideo Kiyota

[専門分野]
電子材料
電子デバイス

[現在の研究課題]
ダイヤモンドの気相合成と電子デバイス化
カーボン薄膜の液相合成

ダイヤモンドは究極の半導体

ダイヤモンドは電気的な性能が高く、高温や放射線といった過酷な環境にも強い「究極の半導体」と呼ばれています。そもそもダイヤモンドはカーボン(炭素)からできいて、同じカーボン系のグラフェンやカーボンナノチューブも次世代のコンピュータやセンサを実現する材料として期待されています。パソコンやスマートフォンに使われているICチップは、現在ほとんどがシリコンと呼ばれる半導体によって作られていますが、その性能はそろそろ頭打ち…。将来、高度な人工知能やロボットを実現するためには、シリコンの限界を超えた新しい半導体が必要なのです。ダイヤモンドでの実用化のためには、大きな結晶の合成、ダイヤ上に電子回路を作る技術の確立、未知の性質を解明するなどさまざまな課題があります。

未来REAL

幾何学的に歪みのない構造の
高性能ダイヤモンド半導体の実用化はいつ?

現在ダイヤモンド半導体の研究を進めているのは、日本の独立行政法人である産業技術総合研究所のダイヤモンド研究センター。2010年にはすでに1インチサイズのダイヤモンドウエハーの製造に成功しており、この先10年以内の実用・量産化を目指しています。夢の半導体は実用化が視野に入った状態にあります。

出典/モノづくりエンジニアのための情報ポータルサイト エンジニアピット
https://www.e-pit.jp/careerlab/2/1545

知的情報処理研究室

佐松 崇史 教授Takashi Samatsu

[専門分野]
ソフトコンピューティング
音声信号処理

[現在の研究課題]
ウェーブレットネットワークとその応用
知的情報検索システムの構築
光マイクロフォンのSN比向上

AIで進化する光波マイクロホン

AI(人工知能)のディープラーニング(深層学習)性能向上の研究も結果が出始め、レーザ光で音を観測する、光波マイクロホンの技術を応用展開として、さまざまな信号処理性能の改善をしています。例えば抽出した音源のノイズ除去に、AI(人工知能)を利用し、光波マイクロホンの性能向上を目指しています。光波マイクロホン※はセンサ部が光ビームで、完全非接触で音を検知することができます。音源を分離フィルタで信号・ノイズに分離することにより、カメラで遠方の音を抽出したり、体内音を測定することが可能になります。理論上は自然光でも非接触で音を検出できるので、環境分野をはじめ、医療分野での実用化も期待されています。
※東海大学 園田 義人 名誉教授(開発者)との共同研究。

未来REAL

未来の人間と機械の通信方法は
脳から通信するテレパシー技術かも!?

2010年に発表されたソフトバンクの『新30年ビジョン』では「脳からコンピュータのチップに通信する時代が300年以内に必ず生まれる」「300年後のソフトバンクは携帯電話会社ではなくテレパシー会社かもしれない」と述べていた。テレパシーは、続々と先端企業が開発を公言しており、この様子だと実現するのに300年もかからないかもしれない。

出典/ZDNet Japan
https://japan.zdnet.com/article/35102310/

電子回路研究室

藤本 邦昭 教授Kuniaki Fujimoto

[専門分野]
集積回路
知能情報処理

[現在の研究課題]
低消費電力A D 変換回路
連想メモリ
悪性黒色腫の自動診断

脳の膨大な情報処理をハードウェアで実現

将棋界では人工知能「ポナンザ」が現役の名人を破り、医療分野ではレントゲンやCT画像の診断支援を行うAIシステムが実用化まであと一歩の所まで来ています。AI(人工知能)は、ニューロン(神経細胞)をモデル化した動きをコンピュータで計算することで実現しており、高性能なAIシステムでは、複雑に結合した膨大なニューロン1個1個の動作を全て計算する必要があります。その計算量は膨大で、システム構築の壁となっています。そこで、完全並列動作するAI専用ハードウェアを開発、AIをハードウェアの面から支えるべく、現在まで、ニューロンと類似した動作の電子素子であるニューロンMOSFETを用いた記憶装置(メモリ)を開発中、その技術がAI専用ハードウェアにいかせると考えています。
※東海大学 園田 義人 名誉教授(開発者)との共同研究。

未来REAL

三菱電機「コンパクトなハードウェアAI」を開発

少演算量アルゴリズムを最適化することで、小規模な FPGA※にも搭載できる「コンパクトなハードウェア AI」を開発。これにより、リアルタイム性の向上と低コストが実現できることから、家電、エレベーター、高精度地図などへの人工知能の適用分野の拡大に貢献できます。
※Field Programmable Gate Array の略
プログラミングによって動作変更が可能な LSI

出典/三菱電機株式会社 情報技術総合研究所 ニュースリリースより
http://www.mitsubishielectric.co.jp/news/2018/pdf/0214-g.pdf

感性情報処理研究室

村上 祐治 教授Yuji Murakami

[専門分野]
感性情報工学
建築情報教育

[現在の研究課題]
建築設計教育における情報技術の活用

発展するVRとAR、社会貢献としての技術

「ポケモンGO」は、AR(拡張現実)を使ったゲームとして世界中で大ヒットしました。家庭用VR(仮想現実)機器も販売され、ゲームだけでなく、住宅用モデルルームの代わりとして体験できる環境ができつつあります。研究の基本は、現実社会で人の幸せに貢献する技術の向上です。例えば、建築分野なら建物の完成予想図をVRで表現し、壁や家具の色を変化させたり、現実空間に付加情報を表示するARを使った展示ツールの開発など。ヘッドマウントディスブレイの進化により、今後は仮想世界と現実世界がリアルタイムで影響し合うMR(複合現実)へと移行する展開も視野に入れています。そのほか、VRやARを使った教育システム、スマートフォンを利用した教育支援マップシステムなどの開発に注力しています。

未来REAL

VR/ARでビジネスが変わる

VRFocusに掲載されたSam Furr氏の記事では、ビジネスにおけるVR/ARの未来像として、「人材活用と研修」、「VRコンテンツを使ったブランド認知度向上」、「顧客の利便性を高めるARアプリ」、「製品のプロトタイピング」、「出張の削減」を挙げています。ヘッドマウントディスプレイの種類も増えてきており、今後小型軽量化が進むでしょう。気軽にウェアラブルな情報端末を身につけ、さまざまな情報を駆使し、ビジネスで活用する時代がすくそこまできています。

VRFocus (5 Ways AR and VR are the Future of Business)
https://www.vrfocus.com/2018/05/5-ways-ar-and-vr-are-the-future-of-business/

生物環境工学研究室

村田 達郎 教授Tatsuro Murata

[専門分野]
植物育種学
植物組織培養学

[研究テーマ]
品種改良における植物
バイオテクノロジーの応用

国際宇宙ステーション(ISS)・
植物工場で初の食用花の栽培に成功!

植物工場とは、太陽光や人工光(太陽光の代わりにエネルギー効率の高いLEDの利用)を使い分けながら、温度、湿度、二酸化炭素を制御盤でコントロールして、計画的に植物を栽培するシステムです。植物工場では、完全に制御された環境で植物を栽培することができるために、冷夏や暖冬、台風などの気象変動の影響を受けることがなく、また病害虫の侵入が少ないために、農作物を安全に安定して供給することができます。学内の植物工場では、植物の成長過程を観察しながら、組織培養や植物の品種改良への応用について研究を行っています。植物工場で品種改良と新品種の安定した増殖が可能となれば、世界の食料問題の改善にもつながります。

未来REAL

植物工場の新たな展開に向けて

人工光型植物工場栽培の食用花「百日草」が初めて開花。植物の株元・根を活用し再生させる「再生栽培」の実験も行われ、継続的な収穫と収量アップを目指している。今後NASAでは、ISS内に植物工場を標準装備し、宇宙飛行士に新鮮な野菜を定期的に提供することを計画している。2030年火星探査に植物工場が導入されるかも!?

出典/植物工場・農業ビジネス オンライン
   「国際宇宙ステーション・植物工場にて初の食用花の栽培に成功」
   「NASA宇宙ステーションによる食料生産。2030年の火星探査に植物工場が導入される!?」

無線・信号処理研究室

松本 欣也 准教授Kinya Matsumoto

[専門分野]
電波情報工学
電波天文学

[現在の研究課題]
センサ無線ネットワークの研究
電波天文観測システムの研究

誤差の少ない衛星システムを開発する日本

今やワイヤレス(無線)の信号処理技術は、コンピュータの用途を拡大する「相棒」となる基礎技術だけでなく、次世代の社会インフラを提供します。たとえば、無線電波を利用した衛星測位技術としてGPSは有名ですが、これは海外の技術で、誤差は数メートル程度と言われています。現在、日本が開発している衛星システム「準天頂衛星」は、センチ級の精度が期待されています。この新技術をどう使うか。これについて研究室では、みんなでアイデアを出し合い研究を進めています。画用紙ほどの厚みがあればコンピュータを組み込める時代。これらの「組み込み機器」は、私たちの身の回りに多く配置されています。電波などを利用したさまざまな「無線」の「信号処理」は非常に大切で、より高機能かつ高速動作させることが求められています。

未来REAL

準天頂軌道の衛星主体で構成された
日本の衛星測位システム“みちびき”

みちびき初号機は2010年に打ち上げられました。追加3機(準天頂軌道2機、静止軌道1機)も開発されており、2017年度に打ち上げられ、2018年度から4機体制で運用されます。2015年1月に策定された新たな「宇宙基本計画」で「2023年度をめどに持続測位可能な7機体制での運用を開始する」と決定されました。

出典/みちびき(準天頂衛星システム:QZSS)公式サイト
   GPSと一体運用可能な準天頂衛星「みちびき」を利用し、位置情報を高精度に測位します。
   サービス内容、技術情報、衛星測位関連ニュース、みちびき対応製品などをご紹介しています。

医療福祉工学科Department of Medical Care and Welfare Engineering

1つの研究テーマを選び、1年間かけて調査・実験を行い、卒業論文としてまとめます。
これらの課程を通して、臨床工学技士に必要な問題解決能力を養います。

電子機器研究室

[大内 可人 教授]

現在、医療分野では、電子機器、電子回路の知識が不可欠です。本研究室では、この分野で新しい電子回路の応用研究を行っています。また、ネットワークを利用したWeb学習環境についても研究を行い、たとえば臨床工学技士国家試験問題をパソコンから学習するソフトも開発しています。

電子機器研究室の様子

機能生物学研究室

[村田 宮彦 教授]

生物は周りの環境の変化に対応して、自らの内部の状態を一定に保とうとする恒常性という基本的な性質を持っています。本研究室では、この精妙な恒常性システムの性質とそれを支える仕組みを調べており、現在、個体レベルではカルシウム濃度の恒常性、細胞レベルでは神経興奮性の恒常性について研究しています。

機能生物学研究室の様子

生体計測研究室

[鳥居 徹也 准教授]

科学技術の医療応用は、日進月歩で発展しています。物理的刺激の医療応用は、検査だけでなく、各種疾患の治療や症状軽減など幅広く利用されています。本研究室は、新たな検査・治療・リハビリテーションの実現に向けて、生体の多角的計測研究に積極的に取り組んでいます。現在、ヒト脳・神経に対する音、光、電気、磁気などの物理的刺激が、運動・認知機能などに与える影響や効果を生体計測技術により明らかにするとともに、そのメカニズムにまで迫ることを目指しています。

生体計測研究室の様子

医用工学研究室

[佐藤 綾 准教授]

医療機器の安全使用を確保するためには、医療機器を取扱う医療従事者の知識や技術を向上させることが重要です。本研究室では、生命維持管理装置などの医療機器の基礎知識と技術向上の関連性や技術向上方法などに関する研究を行っています。また,生体に対して非侵襲的な刺激が行える磁気刺激の安全性や新たな可能性を見出す研究も行っています。

医用工学研究室の様子

福祉工学研究室

[泉 隆 教授]

福祉や医療の現場のニーズに基づいた研究開発を行う福祉工学の分野に期待が集まっています。たとえば「車椅子を安全に使いたい」とか「寝たきりになっても友達とコミュニケーションしたい」という具体的な要望に対して、福祉工学研究室では、ユーザの立場を踏まえた実際に役に立つ装置やシステムの開発に挑戦しています。

福祉工学研究室の様子

電子・情報研究室

[矢原 充敏 教授]

近年、医療技術の進歩に追従して医療機器に用いられる技術も目覚ましい発展を遂げています。本研究室では、それらを構成する上でベースとなる電子機器の開発を行い、医療機器の更なる精度向上を目指しています。また、臨床工学技士の国家資格を目指す人の自学自習を支援するWeb学習システムの開発も行っています。

電子・情報研究室の様子

人間工学研究室

[木村 達洋 准教授]

脳波などの生体情報を利用してコンピュータを操作するシステムBCI(Brain-Computer-Interface)を研究しています。言語機能に重度の障がいをもつ人にとっては、自分の意思を他者に伝えることが難しく、在宅医療や福祉の現場で身体動作が不要なインタフェースが求められています。

人間工学研究室の様子

臨床呼吸器学研究室

[土居 二人 講師]

人工呼吸器の目的は、適切な換気量の維持、酸素化の改善、呼吸仕事量の軽減であります。我々、臨床工学技士は呼吸管理も行いながら、合併症の予防と安全管理にも努める必要があり、多くの情報を得るべく知識と技術の習得に励んでおります。当研究室では、人工呼吸器のスペシャリストを目指し、さまざまな呼吸器関連の研究に昼夜を問わず挑戦しております。

臨床呼吸器学研究室の様子