分子繁殖学研究室

2018年4月に開設した新しい研究室で、現在、修士課程2名、卒論生3名、事務職1名、ポスドク(博士研究員)1名と教授1名が在籍しています。前職(東大教授)以来、大型研究予算を獲得しながら、全国の共同研究者らと共に英文や和文の論文を出し続けています。研究室の目標は2つ:1つ目は基礎研究で世界のトップに立ち続けること、2つ目は、その研究をベースに生産者が使える技術開発をし、農業に貢献することです。実際、卒論生は世界最先端技術を使いながら牛妊娠成立のメカニズムを研究しており、研究開発では不受胎牛(妊娠していない牛)を早期に発見する技術を開発しています。この研究室では、研究やデスカッションを通じて学生自身の「伸びしろ」に気づかせ、一人一人を育てるという教育を行っています。

タンパク質化学研究室

生物のすべての情報は、遺伝子を設計図として細胞に保存されていますが、遺伝子が作るのはタンパク質だけです。実は、このタンパク質が糖や脂質さらに他の成分を合成するマザーマシンとなっているのです。私たちの体の中では、このようにしてつくられたたくさんのタンパク質分子が働いています。その多くは、酵素として生体反応を効率よくスムーズに行わせるため種々の機能を持っています。これらのタンパク質の構造や機能を調べることにより、生物が生きていくメカニズムや生物の機能を理解することができます。また、生体の中ではこれらのタンパク質の働きでつくり出されるさまざまな成分が働いています。私たちは、この生命をつかさどるタンパク質や生体成分の構造や働きについて研究しています。

ゲノム情報科学研究室

私たちの研究室では、疾患の成因や生産形質などの多因子形質の形成に関わる責任遺伝子とその機能を解明することを目指しています。特に多くの遺伝子の転写調節に関与しているCpGアイランドやエピジェネティクスの最上位に位置するDNAメチル化に着目しており、DNAの二次元電気泳動によるゲノムレベルでの網羅的解析とDNAマイクロアレイを用いたmRNA(転写産物)レベルでの網羅的解析を基盤としています。これらの網羅的解析で抽出された候補遺伝子群から詳細なゲノム構造解析や機能解析によって責任遺伝子を単離・同定し、その機能性に関わるゲノム変異を見出すとともに、DNA検査に用いるDNAマーカーを開発することを目指しています。

天然物化学研究室

古来、人間は動植物、微生物及び海洋生物が産生する物質を、健康の維持、病気の治療に利用しています。また、それらの物質の科学的研究により、新しい医薬品が開発されています。一方、漢方医学には食事療法を重視する“医食同源”という概念がありますが、近年、食品に含まれる生物活性物質が注目されており、食品による病気の予防が研究されています。また、それらの生物活性物質を用いた多種多様の健康食品が開発されています。このような背景から、当研究室では薬草、野菜および果物などに含まれる成分を純粋に分離後、それらの構造を化学反応ならびに機器分析により決定し、さらに、それらのもつ生物機能を明らかにする研究を行っています。

食品生体調節学研究室

生物は誕生してから成長し、成熟するとやがて生理機能や運動機能が衰える「老化」が進行します。われわれ人類は老化を抑制する何らかの方法があるに違いないと考え、その原因究明と抑制に多くの人々が魅了されてきました。現在、食習慣・運動習慣が不適切であると血管の老化が進み、「生活習慣病」と呼ばれる疾患を発症し、からだ全体の老化も早く進んでしまうことが知られています。血管の老化は一度進行すると病院でも治療が困難ですが、かと言って予防的に薬を飲むことはできません。そこで、老化に伴うからだの異常を早期に検出して、食品成分を使って老化を遅くさせる方法について研究しています。

食品機能科学研究室

食品の機能は、1次機能(栄養性)、2次機能(おいしさ、楽しさ)、3次機能(体調調節、生理作用)の3つに分類されます。わが国では超高齢社会の到来と医療費の増加に伴って、食と健康に繋がる食品の3次機能が注目されています。そこで私たちは、熊本に特化した健康志向食材であるヤーコン、ブラックベリー、ムラサキイモ、食用イグサ、伝統野菜であるひご野菜などの農産物や薬用植物中に含まれるポリフェノールなどの有効成分と、抗酸化、抗炎症、消化酵素阻害作用との関連性や、チーズの抗腫瘍作用について調べてきました。また、生体内に存在する薬物代謝酵素である硫酸転移酵素による代謝物の生理作用について研究を行っており、医・薬・農学分野への応用にも挑戦しています。

生物化学研究室

生体内で起こる化学反応を触媒するタンパク質を酵素と呼びます。酵素は発酵食品や医薬品など私達の身の回りで昔からたくさん利用されています。酵素は顕微鏡では見えないくらい小さな生体分子ですが、特定の立体構造を正しく取ることによってはじめて働くことができます。多くの病気は酵素が正しく働かないことにより生じるため、酵素の機能(働き)や、立体構造(形)を明らかにすることは新しい治療薬をつくり出すことにもつながります。「生物化学研究室」では、藍染めや植物の疫病に関わる酵素に焦点を当て、酵素の機能や立体構造を明らかにすることで、生化学的な視点で藍染めを解明したり、植物病原菌に対する新しい農薬の開発を行っています。

食品バイオ化学研究室

乳酸菌を多く含む発酵食品(ヨーグルト、チーズ、漬物、キムチなど)は、身近な機能性食品です。私たちの研究室では、さまざまな食品から乳酸菌を単離し、その機能性を解析しています。乳酸発酵食品には、乳酸菌の機能と発酵によって食品素材から新たに生み出される機能の2つが期待されます。そのため、研究対象は乳酸菌そのもののほか、チーズ、豆乳ヨーグルト、発酵野菜などさまざまです。乳酸菌の魅力は研究成果を応用に結びつけやすいことです。私たちの研究室では機能性乳酸菌を発酵食品へ応用する研究も行っており、付加価値をつけた新しい機能性食品の開発を目指しています。

食品安全性学研究室

私たちは核内受容体(NRs)を軸に食品の安全性・有効性について研究しています。NRsはステロイドホルモンや脂溶性ビタミンをはじめとした生理活性物質をリガンドとする転写制御因子であり、細胞内シグナル伝達を調節することで生体機能に重要な役割を担っています。私たちが経験的に健康に良いと知られてきた食品成分にはNRsのリガンドとして有効性を示す化合物が多く含まれていることが予想されます。一方で、食を介して摂取する化合物の中にはNRsに作用して安全性に関わるものも含まれます。この安全性・有効性の違いを規定する要因について、分子シミュレーションなどの技術を駆使してNRsの分子認識を明らかにし、その活性を細胞内で評価するシステムの構築を目指しています。食品由来化合物の細胞内シグナル伝達を通して健康科学を考えていきます。

微生物工学研究室

近年、微生物の有効利用に対する関心が高まっています。日頃何気なく飲食している酒、みそ、醤油、納豆など微生物と深い関係がある発酵食品には、食の安全や健康に関する機能や物質が数多くあり、日々、新たに発見されています。
①バクテリオシン:安全な食品保存料として期待されるタンパク質性抗菌物質です。モンゴルの馬乳酒由来乳酸菌と納豆のバチルス属のバクテリオシンを研究しています。
②発酵食品の面白さ:搾り立ての清酒の酒質を維持する方法及びおいしい自然酵母パンのための酵母の分離などを研究しています。
③皮膚常在菌:肌に存在する微生物の性質を美肌づくりの化粧品開発に役立たせます。