動物繁殖学研究室

生殖は1個の卵子と精子の出会いから始まる神秘的な現象です。そして、新しい世代は高い活力をもつだけでなく、時には親を超える能力を持つこともあります。私たちの研究室では、動物の精子や卵子の形成、受精、発生などのメカニズムを解明しています。さらに、それらの知見を基にして、人工授精、体外受精、ゲノム編集などの応用技術の開発を行い、動物遺伝資源の保存や有効活用に貢献することを目指しています。また研究材料の一つとして実験用ミニブタ(マイクロミニピッグ)を用いています。マイクロミニピッグを用いて精液の保存試験、体外受精を行うとともに、その繁殖特性に関する研究も行っています。

動物行動学研究室

「アニマルウェルフェア(AW)」は「動物の欲求が満たされていることによる幸福な状態」のことで、動物をできるだけ幸せな状態で飼育することを目的としています。近年では動物飼育を行う際には必須の考え方で、EUでは動物飼育を行う際の法律になっています。AWを考えるためには、動物たちがどんなことに苦しみや幸せを感じているのかを科学的に知る必要があります。しかし,ヒトと動物は直接会話することができません。そこで私たちの研究室では、動物の行動を詳細に観察して、動物を理解し、AWに配慮した飼育法を考えています。阿蘇実習フィールドの動物だけでなく,動物園でのチンパンジーや赤色野鶏などの研究など人と関わる動物に関して広く対象としています。

草地生態学研究室

世界農業遺産である阿蘇地域に位置する、東海大学阿蘇実習フィールド内の草原を活用して、地域の環境に調和した動物生産について研究しています。人間の生産活動が環境と調和しているかを知るために、「生物多様性」はとても大切な手がかりです。私たちの研究室は、草原で牛をのびのびと放牧して乳や肉を生産することと、その草原に生育・生息する野草や野生動物の関係について調査研究を行っています。一方で、豊かな生物多様性の草原で放牧される牛は、さまざまな野草を選んで食べる機会にも恵まれます。このように動物の採食行動の自由度が高い飼育方法について、アニマルウェルフェアの観点からも研究しています。さらに、その地域特有の環境に自生する野草を食べて生産された牛乳や牛肉は、テロワールな食品、つまりその地域でしか得られないオンリーワンと言えます。このように地域性の高い産物を生みだし、人と動物と生態系の幸せを生み、地域の持続的な発展に貢献できる牧畜を目指して研究しています。

動物栄養学研究室

我が国の肉用牛や乳用牛経営は大規模化と高齢化の二極化が進んでいます。大規模農家では牛の世話が忙しく、高齢農家では労力が大変で、どちらもエサ作りが困難な状況です。しかし、エサを外国からの輸入に頼る畜産は経営の不安定化をもたらします。農家個々ではなく、地域でエサをつくり、共有する仕組みが望まれています。これを実現するためには、エサをつくる人と使う人を繋げる技術が必要と考えています。その場でエサの品質が確認できる技術、少ない労力で運搬できるエサの調製法、安価で高栄養な地域資源の飼料利用技術の開発などを作物学的、化学的あるいは栄養学的なアプローチを用いて実践的に取り組み、産地の維持・発展に貢献していきたいと考えています。

動物遺伝学研究室

生物のもつさまざまな特徴は遺伝子の働きによって生み出されています。性別や毛色などは厳密な遺伝的制御を受けています。おいしいお肉やたくさんの卵などの家畜で見られる有用な特徴もその例外ではありません。しかし、これらの特徴がどのような遺伝子の作用によって生み出されるのかについて、具体的なことはほとんどわかっていません。したがって、これらの特徴を生み出す遺伝子を探し出し、その機能を解明することが育種改良を行う上で重要です。家畜生産に有用な遺伝子や遺伝子内多型の発見を目標として、私たちは生物への理解を深める研究を行っています。

動物機能制御学研究室

2050年には世界人口が100億人に達すると予測されており、食糧、特にタンパク質の需要は更に拡大すると考えられています。我々の主なタンパク質供給源である食肉は家畜の筋肉です。将来のタンパク質供給源を確保するには、家畜一頭あたりの筋肉量を増やる必要があります。そのためには、動物の筋肉の成長メカニズムを理解することが必須です。食肉の生産性向上を目指し、筋肉の成長や再生メカニズムについて研究しています。また近年、運動習慣がメタボリックシンドロームなどの疾病の発症を予防すること、筋肉の衰えが健康寿命を短くすることがわかってきました。筋肉の研究で農学だけでなく医学・健康科学に貢献します。他に、熊本県の名物である「馬刺し」の美味しさや機能性に関する研究を展開しています。

動物生理生態学研究室

阿蘇の草原に放牧されている牛、その足下にはモグラが、草原や周りの森林にはネズミの仲間が、そして空にはコウモリなどさまざまな野生哺乳類が人知れず暮らしています。自然あるいは人の手が加わった草原で、大きな牛がどのように過ごし、小さな野生哺乳類がどのように暮らしているのか。「環境適応」をキーワードに行動調査や生態調査により、彼らの生活を垣間見る研究に取り組んでいます。その生活から、彼らの能力や生態系における役割を考え、生物多様性に配慮した持続的な動物生産、動物園展示や環境教育に役立つ研究成果を蓄え、人と動物と環境のより良い関係を築き上げることを目指しています。

分子神経生物学研究室

幼少期に受ける環境ストレスはその時だけでなく、成熟後も動物へさまざまな影響を及ぼし続けます。特に、養育者と子の関係の崩壊は子にとって大きなストレス因子となります。これはウシやイヌネコ、マウスにおいても同じです。当研究室では、「親子関係に着目した幼少期環境ストレス (母子分離や早期離乳など) が成熟後の動物へ及ぼす影響」を中心テーマに研究を進めています。マウスで得た実験結果を他の動物種における育児問題へと応用し、健全な社会の実現を目指しています。また、熊本県が誇る褐毛和種(あか牛)がもつ特徴を科学的に明らかにすべく、阿蘇実習フィールドを始め学外のフィールドへ飛び出して行動学的・生理学的調査をしています。

家畜管理学研究室

家畜や家きんの健康は、安全な畜産物を安心して食べたいという消費者の観点から重要なだけでなく、余分な薬や飼料、および飼養管理の手間を必要としないことにもつながるため、生産者の観点からも重要なことです。ふだん生産現場で発生し、問題となっている家畜や家きんの病気は、人間でいう風邪のような、ありふれた慢性の病気です。これらは家畜や家きんをすぐに死に至らしめることはありませんが、頻繁に発生して、余分な薬や飼料を必要としたり、家畜家きんの増体や泌乳量や産卵率が低下するなど、いわゆる「生産性の低下」を引き起こすこととなります。我々は、このような慢性疾病を予防し、生産性の向上をはかるための技術開発を目標に、研究を行っています。