植物環境科学研究室

植物は動物のように動けないため、より厳しい環境でも適応できる力を発達させてきました。本研究室では特に希少かつ多様な野生植物を材料に「環境・進化・保全・緑化」をテーマに研究をしています。具体的には①キク科、ラン科、ウリ科、食虫植物をはじめとする植物の環境適応のためのゲノム進化と形態変化のメカニズムの解明、②外来植物の駆除及び遺伝子汚染を判定する方法の開発、③新たな緑化植物の開発研究を行っています。

作物学研究室

化学農薬や化学肥料に頼らない食用米や酒造用米の栽培について研究しています。無農薬でも、省力的に、雑草だらけにならず、良品質のおいしいお米を安定した収量で栽培するための技術を追求します。そのために、大学の阿蘇実習フィールドの試験水田だけでなく、東海大学モニター農家など、熊本県内の先進的な技術をもつ農家さんと協力し、農業現場での研究にも力を入れています。そのほか、町おこしに役立てる目的で、熊本県のイネやダイズの在来品種の栽培特性を調べたり、甘草やミシマサイコなどの薬用植物を阿蘇の気候の中で栽培することに取り組んだりしています。

植物病理学研究室

人や動物と同じように植物もさまざまな病気にかかります。これは特に肉眼では見えない菌類・細菌・ウイルスなどの微生物の感染が原因です。私たちの研究室では、その病原微生物と植物との関係を研究し、どのようにして病気を防げばよいかを探ります。研究者は“植物医師”として病気のメカニズムの解明、病原微生物の制御法を探求しています。現在は特に、放線菌が原因となる病気の発生の仕組みの解明を行うとともに、病原菌を抑制したり植物を元気にしたりする有望な微生物の探索も進めています。このようにして、環境に優しく、生物自身の機能を最大限に発揮させるような病害防除法を確立し、安心で安全な食の確保に貢献します。植物にも病院と医者が必要なわけです。

植物生理生態学研究室

近年、温暖化や砂漠化が深刻化しており、人間活動は異常気象をもたらす一因とも考えられるようになりました。そのため、地球環境を悪化させずに食料生産を行う必要があります。雑穀は作物の中で最も古くから重要な食料源とされ、これまで世界各地で人々の命をつないできました。皮肉なことに、バイテクが進むほど遺伝資源が失われ、雑穀はその影響を最も受けている植物種の一つであると考えられています。本研究室では「乾燥、塩害、湿害など、栽培に困難な状況でも雑穀が旺盛に生育するのはなぜか」を明らかにするため、世界各地の雑穀を収集し、根の周りで起こるさまざまな環境ストレスに対する葉、茎、根の反応を詳しく調べています。

天敵生態学研究室

オオルリシジミ(蝶)などの希少昆虫の保全、半水生カメムシ、糞虫の生態解明、昆虫の移動分散、進化適応戦略の解明などで知られています。研究室は、日本蜘蛛学会の本部です。研究対象は、蝶、蜂、甲虫、クモ、ダニなど幅広いのが特徴です。研究の柱は4本。①土着天敵の利用法開発、②希少昆虫を保護しつつ害虫被害を減らす技術開発、③食物網解析による害虫多発機構の解明、④生態系に負荷のない新農薬の開発。

植物分子遺伝学研究室

色や形ばかりでなく、栽培特性や病害虫に対する抵抗性など、見た目だけではわからない形質も含めてさまざまな植物の育種(≒品種改良)が進められてきました。このような遺伝的改良は交配と選抜を中心に実施されてきましたが、近年はこのような伝統的な手法に加え、遺伝子レベルでの操作も可能になり、その方法が大きく変化しています。私たちの研究室ではヤーコンやシバを材料とし、伝統的な育種法と組織培養を利用した育種法、さらに遺伝子レベルでの比較などをテーマに研究を展開しています。この作物でこんな改良をしたいというあなたの夢を現実にするために一緒に学んでいきましょう。

蔬菜花卉園芸学研究室

私たちの研究室では、園芸作物(野菜や花卉)の品種分化の研究や品種育成に有用な遺伝子を探索する研究を行っています。現在、日本国内で栽培される多くの野菜は、異なる性質をもつ両親系統間の交雑によって得られた雑種第一代 (F1: First filial generation)の種子を大量に採種し、品種とするF1品種です。そのため、優良な親系統の育成が必要となりますが、その育成には多大な労力がかかっています。その労力の軽減には有用な形質に関連する遺伝子を見出し、DNA分析を育成過程に導入していくことが有効であると考えられます。そこで、本研究室では、ハクサイやキャベツといったアブラナ科野菜を中心に、有用な遺伝子を探索するため分子生物学的な研究を進めています。

果樹園芸学研究室

日本では果樹は嗜好品とされていますが、健康な身体を維持するための栄養素や健康機能性成分を多く含みます。また、四季折々の姿で人々を楽しませるとともに、その生理生態は研究素材として高い魅力をもちます。私たちの研究室は、ブルーベリーやキイチゴなどの小果樹類の遺伝資源を収集・保存し、アントシアニンや抗酸化活性を含む特性評価を行い、それらの交雑から美味しく、機能性に富んだ果物の創出をはかっています。さらに、熊本県特産果樹であるカンキツや新品種‘シャインマスカット’を含むブドウなどに関して、組織培養、染色体・DNA解析、化学分析などを駆使した幅広い研究を行っています。

植物育種学研究室

植物育種学は、植物の品種改良によって、高収量・高品質・高ストレス耐性等の有用な性質をもつ植物をつくり出し、食料問題や環境問題などの解決に取り組む分野です。品種改良には、交配や突然変異の利用、バイオテクノロジーの応用などのさまざまな手法があり、その基礎となる遺伝現象の解明や新しい改良手段の開発を目指して、日々研究が行われています。私たちの研究室では、従来型の交配や新たなバイオテクノロジーの手法などを用いて、熊本の伝統的な古典ギクである肥後ギクを使った新品種の開発や、新しい機能性作物の探索などを通して、社会に新しい価値をもつ植物の提供を目指しています。